2013年03月26日

居酒屋セルジオ

マクラ
こんなにスバラシイ拍手で迎えられたのは、人生で八度目です。

さて、ちょっと前までは野球のWBCで盛り上がって、今はセンバツ高校野球が開幕。今週末にはプロ野球が開幕します。一方ではサッカーのJリーグは3月上旬に開幕し、日本代表が今夜(3月26日、日本時間午後11時)ワールドカップ・アジア最終予選で日本代表がヨルダン代表と試合をします。勝てばワールドカップ出場が決まりますね。

えーさて、サッカー日本代表の試合と言えば「居酒屋で一杯引っ掛けてるかのような解説をする解説者」がおなじみですね。誰とは言いませんが、初代Jリーグ優勝監督。私、あの人好きですよ。「よーし、いけ!」「これはカードでしょう。えっ、出さないの!?」「ふざけたロスタイムですね」等々。ねぇ。日本サッカーの礎を築いた人がですよ。

それと松木さんの隣に。あっ名前言っちゃった。これ、川淵さんのマネですけど。いますよね。日刊スポーツのコラムで、日本代表をボロクソにけなすのに、日本代表がゴールを決めると大喜びするツンデレブラジル人。子供相手に本気でフェイントする人。あの方も実に味わい深い解説をなさる。

それだけじゃないんですよ。ピッチサイドには名波さんがいます。名波さんはいいですよねぇ。余計なことを言わない。「沈黙は金」をよく知っていらっしゃる。

そんな方々が「居酒屋サッカー解説」なんて言われるわけですよ。失礼な話ですよね。だったら逆にサッカー解説者が居酒屋を経営したらどうなるか。新作落語で試してみましょう。

(筆者はサッカーに関しては門外漢です。「そこは違う」という箇所がありましたらコメントやメールでお知らせいただければ幸いです)

なお「居酒屋セルジオ」は新作落語のようなもので、架空の物語です。実在の人物とは一切関係ありません。似ているかもしれませんが、のようなものです。


ふぅ。ようやく仕事が終わったよ。さて、晩飯どうしようかな。軽く一杯やるか。どうせなら静かに飲める店がいいな。さてと、うん。あんなところに居酒屋があるよ。なになに「居酒屋セルジオ」。なんだろう、居酒屋とセルジオが微妙にマッチしていないような気がする…。まあ、いいか。ここにしよう。

ガラガラガラ(扉を開ける音)

「いらっしゃい」(安)
「いらっしゃいませ」(名)
「いらっしゃいませ。お客様おひとりさまですか」(セ)
「ええ、ひとりです」
「そうですか。それでしたら、こちらのピッチサイドへ」(セ)
「ピッチサイド?カウンターでしょ」
「当店ではピッチサイドと呼んでいます」(セ)
「そうですか。さてと」と席に座る。
「名波さん」(安)
「はい、ピッチサイドの名波です。お客様、おしぼりをどうぞ」(な)
「ああ、どうも。えーと、飲み物をっと。おっ、このお店。サッポロの赤星があるじゃない、いいねぇ」
「おっ、お客さん。お目が高いねぇ。サッポロの赤星。いい味してるよねぇ。ビール界のレジェンド。三浦カズみたいな存在ですね」(安)
「サッカー協会のスポンサーはキリンだけどね」(セ)
「なんだか不思議なお店だな。まあいいや。サッポロ赤星1本ちょうだい」
「今、お客様がピッチにサッポロ赤星を投入しました」(名)
「冷蔵庫でよく冷えているから、万全のコンディションです」(セ)
「ピッチサイドの名波です。今、サッポロ赤星、グラス、お通しのもずく酸が投入されました」(名)
「お客さん。今日のもずく酸はいいですよぉ」(安)
「うん。確かに。なんだろう。安心できる味だね」
「もずく酸が中盤に安心感を与えているね。遠藤のような存在。中盤に遠藤がいるといないとだと大違い。逆に遠藤不在の時に替わりの選手がいないのが、ザッケローニジャパンの弱点」(セ)
「その時は、枝豆、そら豆を投入しましょう。豆はエンドウ豆だけじゃないですよ」(安)
「松木さん。ダジャレは早野さんの専売特許よ」(セ)
「微妙に合ってるのが無性に腹が立つなぁwww。そうだ、名波さんだっけ?お酌してくれないかな。手酌でやるのはなんだから寂しいからさぁ」
「お客様。当店はそういうお店ではないので」(名)
「お客さん。サッカーは手を使うとハンドの反則になるよ」(セ)
「なんだろう。この、してやられた感じ。悔しいなぁ。じゃあ、自分でやるか」
ゴクゴクゴク(ビールを飲む音)
「ぷはぁ。うまい。さてツマミを頼もうかな。板さん、今日は何がおすすめなんだい」
「オスメス?」(安)
「うん。談笑の『イラサリマケー』か。まあいいや。今日のオスメス教えてくれ」
「へえい、できますものは、けんちん、おしたし、鱈昆布、あんこうのようなもの、鰤(ぶり)にお芋に酢蛸でございます、へえーい」(安)
「おっ。古典できたな。三代目三遊亭金馬」
「イカナイトシロウトタイカイ」(セ)
「いいよ。古典で。金馬でいいよ、金馬で」
「ピッチサイドの名波です。今日は徳島直送の阿波尾鶏が非常にフレッシュです」(名)
「おっ。耳寄りな情報だね。視聴者が知りたい情報だよ。じゃあ、焼き鳥の盛り合わせをもらおうかな」
「お客さん。フォーメーションはどうしますか」(セ)
「フォーメーション?」
「焼き鳥のフォーメーション。監督の決断で試合展開が変わってきますよ」(セ)
「えっ、何か急に決断を迫られたな。うん、お品書きを見ると『松木安太郎おすすめのフォーメーション』ってのがあるな。なになに『2−2−2−3−1』がお薦め。かわ2、レバー2、砂肝2、ネギマ3、手羽先1。ああなるほど。焼き鳥の種類と本数がフォーメーションね。じゃあ松木さんのお薦めで」
「あいよ。焼き鳥フォーメーション『2−2−2−3−1』で」(安)
「ところで松木さん。ロスタイムは?」(セ)
「そーですねぇ。炭火でじっくり焼きますから。ロスタイムは15分から20分ぐらいですね」(安)
「お客さん。ロスタイム20分です」(セ)
「ロスタイム?ああ、鳥が焼ける時間ね。いいよ。それぐらい待つから」
「ピッチサイドの名波です。現在、ピッチ上ではビールが残りわずか。もずく酢はスタミナ切れです。この状態でロスタイム20分を戦うのは非常に困難だと思います」(名)
「ああ、何か頼めってか。追加注文ね。うーん。日本酒をぬる燗でお銚子1本。あとは『自家製のぬか漬け』1つもらおうかな」
「お客さん。うちのぬる燗は本当にぬるま湯に浸かっているような、いい心持ちだよ」(安)
「降格しそうでしない大宮とか新潟みたいね」(セ)
「どんな解説だよ。落ちそうで落ちない。この落語みたいだな」
「お客さん。ぬか漬けは『きゅうり4、ニンジン3、ダイコン3』のフォーメーションだよ」
「ぬか漬けにもフォーメーションがあるのか。すごいこだわりだな」
「ピッチサイドの名波です。今、ピッチに日本酒のぬる燗とぬか漬けが投入されました」(名)
「さて、一杯やるか」
お銚子からお猪口に酒を継ぐ。飲む。
「うん。たしかにいい塩梅だ。こりゃうまい。さてそういえば板さん。今日のおすすめ、もう一回聞かせてもらえないかな」
「ネコミに、イマダメ、ユビクライ、テサバキ」(セ)
「談笑じゃなくて、古典が聞きたいの。金馬の方。金馬やってよ」
「えっ。またやるんですか。次から指名料をいただきますよ。へえい、できますものは、けんちん、おしたし、鱈昆布、あんこうのようなもの、鰤(ぶり)にお芋に酢蛸でございます、へえーい」
「『あんこうのようなもの』って何?」
「あんこうはあん肝です。日本酒にぴったりの珍味です」(安)
「じゃ『のようなもの』ってのは?」
「『のようなもの』ねぇ」(安)
「『のようなもの』って何」
「ピッチサイドの名波です。『の・ようなもの』は、1981年の日本映画。落語の世界を題材にして、コメディの要素を取り入れた青春群像映画です。監督は森田芳光、主演は伊藤克信です」(名)
「詳しいな小僧さん。じゃない。ピッチサイドの名波さん。まるで映画解説者のようなもの?」
「ピッチサイドの名波です。ピーコも泣いたこの映画」(名)
「おすぎだ!」
「いやー映画って本当にいいものですね」(安)
「水野晴郎だ」
「それでは次週をご期待ください。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ...」(セ)
「今度は淀川長治か。ってサヨナラ、サヨナラってまだ焼き鳥焼けていないのにお別れか。冗談言っちゃいけねえ」
posted by 雷庵博人 at 13:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 落語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サッカーにはサッパリなんですが、わたし程度の知識でも落語として楽しめました。

松木さんというのは薄毛のかたですか?ラジオCMでよく聴きますが。

※特にRF

スポーツを絡めた古典改作は、他のスポーツでも出来そうですね。ゴルフなんてどうでしょうか。
テンプレはさておき、サゲはもちろん、英語で言われたから聞き流してしまって意味が解らなかった、とか(やべぇ)。

ははは。


Posted by 中林20系 at 2013年03月27日 09:45
>>中林20系さん
お褒めのお言葉。誠にありがとうございます。

>>松木さんというのは薄毛のかたですか?ラジオCMでよく聴きますが。
スヴェンソンでおなじみの方です。

>>ゴルフなんてどうでしょうか
桂三枝(現・桂文枝)師匠が「ゴルフ夜明け前」を創作されていますね。

>>サゲはもちろん、英語で言われたから聞き流してしまって意味が解らなかった
スピー〇ラーニン〇www
Posted by 雷庵博人 at 2013年03月27日 20:09
とんと最近落語にご無沙汰の自分は、思わず落語の寄席に行きたくなりました。松木さんは自分のごひいきのセレッソ桜組の監督さんを何故かしていました。今考えると謎ですが、桜組ですし(更に謎)。もずく酢なサッカー談義はなかなか渋いです。
ああ…落語に行きたいな…浪曲にも行きたいな…春野恵子さんが確か英語浪曲に挑戦したんだよなあ…英語落語といえば故・桂枝雀師匠だったなぁ…(思い返して涙ぐんでいるらしい)
みの拝
Posted by みの at 2013年03月28日 19:13
>>みのさん
お褒めのお言葉、誠にありがとうございます。

>>春野恵子さんが確か英語浪曲に挑戦したんだよなあ
ご活躍されていますよ。

>>英語落語といえば故・桂枝雀師匠だったなぁ
あれほどの落語をされる方が、ああいう形で・・・。残念ですよね。
Posted by 雷庵博人 at 2013年03月30日 21:15
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