2012年11月30日

喜多八・鯉昇二人会(2012年11月23日)

121123_212754.jpg2012年11月23日

武蔵境 下田園


喜多八 いがけ屋
鯉昇  宿屋の富
<中入り>
鯉昇  時そば
喜多八 明烏

喜多八殿下と言えば「夏の疲れが尾を引いて」けだるい高座でおなじみだが、この日は違いました。アクラからポンポンと、歯切れのいい江戸ッ子らしい語り口で主催者にダメ出ししていましたw

当初の香盤が

喜多八 お楽しみ
鯉昇  芝浜
<中入り>
鯉昇  時そば
喜多八 らくだ

だったんですよ。これ、実現したらすごいよね。ただ、観客の立場からすると、豪華すぎて疲れる。大間の本マグロをたらふく食べたあとに、すき焼きが出てくるような。

さすがに喜多八殿下も鯉昇師も香盤については「もっと気軽に聞いてもらえる話をやろう」と判断し、演目を変更したようです。

「俺には『らくだ』やってくれって。鯉昇の兄貴には『芝浜』。お客さんのリクエストで一番多かったんですよ、皆さん期待していますって言われたけど、うそだろ。こっちはわかるんだから」

何かの教訓にしたいエピソードでした。

あと面白かったのが「志ん生師匠の女将さんと仲が良い」って話。ちょくちょくお家に遊びに行く、雑談をしている中で、「〇〇って落語の、志ん生師匠のクスグリ。あれやってもいいですかね」とおねだりをする。すると志ん生師匠のおかみさん「いいわよ。喜多八っさんなら」って使わせてもらっている。「お直し」も同様に。「お直し」は本来、古今亭の持ちネタ。喜多八殿下は「古今亭以外で『お直し』がハマる噺家が出てくるかもしれないじゃない。だからやってます。古今亭の連中からしたら面白くないだろうけど」とも。こういう所が落語界特有のしきたりですなぁ。

喜多八殿下は自身の子供の頃の話、子供の頃の遊びの話、貧乏で汚かった話をマクラでたっぷり降ってから「いがけ屋」。


松尾貴史さんが岡本太郎画伯のモノマネで「瀧川鯉昇は見る側を拒絶するフォルム」ってネタをやっていたけど、まさにそのとおり。あのおじぎをした後の間、そのご尊顔。まさに「見るものを拒絶するフォーム」

落語会をサスペンス物の2時間ドラマにたとえ、「その時楽しんで、後でなんにも残らない。それでいいんじゃないでしょうか」と。

あと、春風亭柳昇師匠の御宅がこのご近所にあったとか。

「宿屋の富」良かったなぁ。宿屋の客の、自分がいかに大金持ちかって自慢するんだけど(実際には一文しか持っていない)これが面白かった。上沼恵美子よりスケールの大きな自慢話でした。

「時そば」(ベートンベン編)も工夫が面白かった。感情を一文づつ数えている時に、「好きなお菓子は?」と聞いて、そば屋に「ココナッツ」と「みつ」って答えされる。うまいよなぁ。そういえばマクラで鯉昇師匠が「私、そばが大っ嫌いです!」と叫んでいたけど、あれネタなのか。素なのか。

トリは喜多八殿下「明烏」

「廓噺をすると嫌がる女性もいるけど、これはこういう場所なの、男を磨く場所」

で噺に入る。病的にけだるいんだよ、若旦那www。いかも女性や吉原に全く興味がない。本ばっかり読んでる。で、大旦那が遊び指南を頼んだ連中がこれまたタチの悪い、訳知り顔をしたがる。いいなぁ、この対比。で、最後のサゲ。若旦那のしてやったりという表情が実に良かった。

2時間30分たっぷり楽しめました。
posted by 雷庵博人 at 09:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 落語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『時そば』といえば、今やそのまま演るひとは野暮なくらいに各人工夫をこらしてて、だからこそ聴き比べが楽しめますよね。
中でも鯉昇師匠の時そばはすばらしい世界だと思います。

やっぱり…鯉昇師匠のご尊顔はすごいですよね。特に、座って一礼して顔を上げたその瞬間!
他に居ないと思います。
Posted by 中林20系 at 2012年11月30日 17:26
>>中林20系さん
「時そば」。皆さん、いろいろ工夫を凝らして演じてらっしゃいますよね。

>>やっぱり…鯉昇師匠のご尊顔はすごいですよね。特に、座って一礼して顔を上げたその瞬間!他に居ないと思います。
今回は2回も楽しめました、幸福。
Posted by 雷庵博人 at 2012年11月30日 19:12
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