2012年07月14日

ルネこだいら 立川談春独演会(2012年7月13日)

120713_211347.jpg前座なし 三席とも談春師匠

「南瓜屋」
「おしくら」
「人情八百屋」


二席目が「青菜」だったら文字通り野菜づくしのベジタリアン落語会。(ベジタリアンの人って豆腐は食べるのかな、みそは大丈夫なのかな。そばはどうかな。そうすると「ちりとてちん」「味噌蔵」「そば清」「時そば」もアリだな「千両みかん」もOKな)



前座なしで、いきなり当人登場。「前座がいないわけではありません。僕が出たほうがお客さんが喜ぶと思いまして」いいねぇ。マクラ、「大きな丸ポストを見ると『小平に来た』実感が湧く。でもなんであんなに大きいんだろう」。談志師匠が亡くなった話。「師匠の葬式も出せない一門」と自虐的な場面も。

最初は「南瓜屋」。与太郎の「周りの人が放っておけない才能」はすごい。なにせ南瓜を売りに行った長屋の親切なおじさんが、勝手に南瓜を売って銭のやりとりをしてくれる。与太郎は上を見て「あー」と叫ぶだけ。

「おしくら」に入る前のマクラ。最初は旅行の話をしていたが、飛行機に乗る話になり、飛行機に乗ると被爆するって話になる。「(被爆を理由に)震災がれきの受け入れ反対する人ってなんだろうね」と非常に硬い話になる。「がれきを1キロ1500円ぐらいで受け入れる商売でもやろうかな。月30万円ぐらい稼げるんじゃない」と談志さんのようなギャグも。大津市のいじめ自殺の件にも触れる。当然、会場の雰囲気も重くなる。どう反応してよいのか分からない風情。さすがに察したのか「あれ、こんなこと思っているの俺だけ」「この話は公共の場ではもうしません」とおどけてから、「落語家がいかにセコか」という話。楽屋の弁当にものすごくうるさい。

「楽屋の弁当にたくわんが入っていたことに激怒し、出番前に帰った落語家がいる」「ちくわのフライにはウスターソースをどぼどぼかけて食べるのが好き。とんかつソースはヤボと力説する落語家がいる」などなど。あと談志師匠のエピソード。「師匠はハムサンドが大好き。指でつまむとへこんで、しばらくすると元に戻るぐらいの柔らかさのパンに、ハムとバターとマスタードだけのハムサンドが大好き。これにきゅうりやレタスが入っていると機嫌が悪くなる。マヨネーズなんてもっての外」。「でも、師匠の好きなハムサンドを楽屋にそっと置いておくと『俺のことをこんなに好いてくれているのか』となり、トリで『金玉医者』を演る予定が『子別れ』になります」

これが面白かったなぁ。どっかんどっかん笑いを取っていた。そして「おしくら」に入る。強烈なキャラクターばかりで、与太郎が真人間に思えてくる。特に宿の女将さんが強烈。ジブリアニメに登場しそう。談春さんのおばあさんと毒蝮三太夫の対決が見たい。

それにしてもこの噺。おしくらを呼んだら83歳の尼僧(元は江戸で芸者をしていて、男と駆け落ちした)がやってくるってのはすごいなぁ。そういえば、談春さんが「ありがたい法話でとっても有名なアノ方」の名前を出していたような気がする。あれ、思い出せないなぁ。

中入り。そして黒紋付を着た談春さん。マクラなしで「人情八百屋」に入る。

談志さんが磨いて、こさえた噺をこうやって演じることが談春師匠の「追悼」なんだろうなぁ。「人情八百屋」自体が噺として見事だし登場人物が魅力的。そこを演出過多にならない程度の力の入れ方。(やりすぎるとクサくなる。でも談春さんの噺は決してやりすぎない)歯切れが良く、タンカの切り方が鮮やか。そしてよどみのない語り口。そりゃ泣くお客さんがいるのも当然だよ。それぐらい見事な高座でした。

軽い噺、滑稽噺、人情噺。それぞれでお客さんを満足させるのだから、落語家としての技量は抜群。また見たいですね。

本当は禁じてなのかもしれない。でもやってしまったことはしょうがない。立川談志 「人情八百屋」.wmvを聴いた。(談春師匠の音源がなかったから)噺そのものは教わった通りに演っているけど、人物描写で談春師独自の解釈がある。

「出刃包丁で大家をぶっ殺す」といきり立つ八百屋を、火消しのおかみさんがたしなめる。「あの人たちは『楽になった』よの。よかったじゃない。『楽になれた』んだから。そう思わないと、残された方がやっていけないじゃない」(このセリフ、談志さんのにはない)

墓参りの帰りに茶店による。姉弟はおしるこを食べる。火消しは食べない。すると最初に姉が「おじちゃん。食べて」とおしるこを差し出す。すると弟も「おじちゃん、食べて」と差し出す。(談志さんのは最初から3人でおしるこを食べている)

教わった噺に独自の解釈を入れて、さらに磨きをかける。その解釈がお涙頂戴で過剰ではない。「なるほど。この人物なら」と思わせる。

いよっ、名人談春。
posted by 雷庵博人 at 12:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 落語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前座もゲストも無しとは、考えようによれば何とも贅沢な独演会ですね。
っていうか、まさに独演会か。追っかけの方々は狂喜乱舞ですね。
あ、高座返しの前座さんは居ましたよね(笑)。

もしかして楽協や芸協の噺家さんの場合、前座さんやゲストにも一席っていう決まりがあったりするんでしょうか。
立川流だから出来ることでしょうか。

暑かった日の夜は落語で涼むってのは好いですよね。



>「ありがたい法話でとっても有名なアノ方」

清水ミッチャンがよくビバ木で突然物真似してました。
Posted by 中林20系 at 2012年07月15日 19:47
>>中林20系さん
後ろの席の「おっかけ」の女性4人組がものすごく喜んでおられました。「談春さんのおばあさん。最高」って。

>>あ、高座返しの前座さんは居ましたよね
前座さん、いらっしゃいました。座布団を返していました。で、談春さんが高座の上で、座布団の位置を微調整していました。貴重なモノを見ました。

>>清水ミッチャンがよくビバ木で突然物真似してました。
正解ですw
Posted by 雷庵博人 at 2012年07月16日 09:42
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