2011年12月22日

市馬・昇太・喬太郎 忠臣蔵でござる(2011年12月14日)

2011年12月14日、よみうりホールで行われた「市馬・昇太・喬太郎 忠臣蔵でござる」の雑感。
ざぶとん亭風流企画主催

昇太・市馬 ごあいさつ
柳亭市馬「時そば」
春風亭昇太「時そば」
ミニ鹿芝居「吉良邸討ち入りの場」
柳家喬太郎「俵星玄蕃」
柳亭市馬「元禄名槍譜 俵星玄蕃」

香盤表がなかった。

最初に昇太師と市馬師があいさつ。喬太郎師は兵庫県の高砂市で学校寄席。そのために会場入りが遅くなるとの事。

昇太師は「学校寄席嫌い、バカ学校ばっかり行かされて。もう二度と行かない」「ある時、花禄君に『花禄君、学校寄席って嫌じゃない?』って聞いたら『いえ、そんなことはないです』って。調べたら花禄君の行く学校は偏差値の高い学校、僕が行かされたのは偏差値の低い学校ばっかり」そりゃ、人間国宝の孫に粗相がないように配慮はするよなぁ。

市馬さんの「時そば」はこれが、肩の力が抜けた、それでいてよどみない口調でいい感じなんです。寄席の早い出番で演じているよう。そりゃそうだよね、この後歌うんだから。

昇太さんの「時そば」は上方落語の「時うどん」のうどんをそばにかえたバージョン。とにかく、しっちゃかめっちゃかでエネルギーに満ち溢れて言いた。そして「十、十一、十二、十三、十四、十五(ここで銭を渡す仕草)間違えた、十六」新しい演出かとおもったら素で間違えたらしい。それにしても、時そばを爆笑落語にしてしまうんだから大したものだ。

来年に真打昇進の春風亭一之輔さんがシークレットゲスト。大石主税の役を。
「言ったら忠臣蔵もいじめみたいなもんです。吉良の浅野いじめ。落語の楽屋でもいじめがあるんですよ。『お前の父ちゃん木久扇』って」なんという悪質なイジメなんだ。

市馬師が大石内蔵助に扮する。(楽屋では「衣装を脱ぎたくない」「昇ちゃん、写真取って」と言っていたそうです@喬太郎師)。昇太師が吉良上野介に扮する。

内容は吉良上野介が「喝采」(松の廊下バージョン)「北酒場」(吉良上野介バージョン)を歌うというもの。歌詞が最高にくだらなくて「吉良の上野介は 殺され上手なほうがいい」(北酒場)。これ高田先生でしょ、考えたの。一階席、二階席を練り歩く吉良上野介。歌謡ショーかよ。

面白かったけど、長すぎ。悪ふざけはさっとやって、すぐに引っ込めないと。

で何事もなかったように「まかしょ」が流れる。すると、爆笑に湧いていた客席がすっと静まる。いいね。よくわかってるよ、お客さんが。

ざぶとんに座り「歌の会なら歌の会って事前に言ってくれりゃ、もう少し早くきたのに」

うまいねぇ。「お客さんもまさか、『時そば』二席も聞かされるとは思わなかったでしょう」といいつつ、「そ〜ば〜ぇ〜」

「時そば」三連発かと思ったら「俵星玄蕃」だった。

吉良家にほど近い本所横網町。宝蔵院流の槍の使い手俵星玄蕃。槍道場の師範だが、「このまま一生が終わるのか」とむなしさを覚え、酒びたりの日々だった。ある日弟子から「うまい夜鳴きそば屋がいる」とそばをすすめられ、食べてみるとこれがうまい。部屋にそば屋を招き話がしたいと言う。そば屋は当たり屋十助という。丁寧な仕事ぶりから、玄蕃はそば屋は武士ではないかと指摘するが、十助は否定する。

玄蕃と十助はしばし酒を酌み交わすようになる。ある日、玄蕃は吉良家から仕官を勧められるが断ったことを十助に話す。「武士は喧嘩両成敗ではないのか。なぜ浅野だけお家取りつぶしで、吉良はおとがめなしなのだ」そう玄蕃は浅野びいきだった。そして「なぜ、赤穂の浪人は敵討ちをしないのだ」と嘆く。そして酔いつぶれる。

突然、玄蕃は「汗をかきたい」と言い、弟子に命じ庭に砂の入った俵を積み上げるよう指示する。槍の穂先で俵を刺し、そのまま放り投げる。「俵崩し」の技を披露する。

まさに神業。この描写をする喬太郎師の語りにすっかり引き寄せられた。

玄蕃は、そば屋は赤穂浪士だと直感し自らの技を披露したのだ。

その後、玄蕃の元には松平家からの仕官の誘いが来る。これは赤穂浪士が扮した使者だった、玄蕃が吉良の加勢をしないように用心したために情勢を探ったのだ。

ますます悩む玄蕃。さらに酒量が増える。

そんなある日、弟子から「赤穂浪士討ち入り」を知らされる。江戸の夜空に山鹿流の陣太鼓が鳴り響く。

槍を担ぎ、赤穂浪士に加勢を志願する玄蕃。

「この中に私の知る御武家様が。いえ、名前はわかりません。ただ、その御武家様は『そば屋』なんです」

すると「先生!」と夜なきそば屋の十助が。

夜なきそば屋の十助は杉野十平次だったのだ。これまでの非礼を詫びる。そして大石内蔵助に加勢を申し出る。大石は「お気持ちはありがたいが、ここは我らだけで本懐を遂げたい」と断られる。

そこで玄蕃は上杉勢の加勢を警戒し、両国橋で槍を携え仁王立ち。明朝、勝どきの声を聞き赤穂浪士たちは本懐を遂げたことを知る。

ざっとこんな話です。俵星玄蕃(結構な文章量になってしまった)

いよっ名人!喬太郎!

そして真打登場。今日のメインイベント。市馬師の「元禄名槍譜 俵星玄蕃」。
さすがの名調子。すばらしいね。

この曲の最も盛り上がる「サクサクサクサクサク」「先生!」「そば屋か!」で杉野十平次に扮した喬太郎師が登場。槍を持っていました。曲に合わせて舞っていました。

それにしても、12月14日に市馬師の「元禄名槍譜 俵星玄蕃」は贅沢極まりないね。

いよっ、名人上手。柳亭市馬!

最後、昇太師が「喬太郎君は何でもやるんだね」ってつぶやいていました。客かアンタはw。

参考動画
三波春夫〜俵星玄蕃フルバージョン〜
posted by 雷庵博人 at 18:02| Comment(4) | TrackBack(0) | 落語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「いいなぁ〜素敵なお噺を伺えて。楽しい催し、いいなぁ〜いいなぁ〜」…と駄々をこねさせて下さい(笑)。拝読するだにわくわくが踊るような、呼吸やノリが伝わってくるような。
…年末に伝票や納品の〆が大量にある仕事柄、どうしても12月は足を運びづらくて(年末ですからねぇ…)。
いけない。自分、ちゃんとした「忠臣蔵」関連のお噺は、ブラック師匠の「怪獣忠臣蔵」しか伺った事が無いのに気がついてしまいました。わーん。伺いたいお噺たくさんですょぉ。…来年こそは仕事を調整して、色々足を運びたいです。
みの拝
Posted by みの at 2011年12月23日 00:40
>>みのさん
鹿芝居はご愛嬌としても、いい会でした。
「年末は『芝浜』を聴かないと」にプラス「年末は『市馬』を聴かないと」が加わってしまいました。嬉しい悲鳴です。
Posted by 雷庵博人 at 2011年12月24日 05:41
面白過ぎる会だったみたいで羨ましいですよ!


市馬&喬太郎の両師匠とも唄好きではありますが、市馬師匠のそれを聴くと“のどがいい”って褒め言葉を思い出します。

音楽の側から言わせていただくと、市馬師匠のそれはヴォーカルに必須な、きちんとした“のどを開いた”発声法だなと思うんです。
この、よく通る声が落語にも活かされてるかな?と。
啖呵とか、説得力がありますよね。

一方で喬太郎師匠は“シンガー・ソングライター”でもありますしね(笑)。

※実父が作詞家ですし

ギターとの即興(多分って言うか鉄板)で展開する『クロケットヌードルソング』はスリリングな名作ですし。
それより何より、風俗ソングは名作過ぎますよね。



>この曲の最も盛り上がる「サクサクサクサクサク」「先生!」「そば屋か!」

ここのところ、ビバリー(=特に木ビバ)で高田先生が折に触れて“やって”ます(爆)。
話の流れで忠臣蔵が出た時なんかに。

そのノリの面白さは理解しても「それって何なの?」なミッちゃんに対して、噛んで含める様な解説(=コレは知らないリスナーにも向けたモノでもあるんでしょうね)を。

やっぱり年末は…あれは現代的に捉えると《テロ》なんですが、やっぱり日本人は忠臣蔵ですよね。
日本人で忠臣蔵で喬太郎師匠といえば…『白日の約束』だ(笑)。

青地に白!“うわ〜いとでぇ〜”、みたいな。

Posted by 中林20系 at 2011年12月24日 23:05
>>中林20系さん
「また来年も来たい」と思える会でした。

>>きちんとした“のどを開いた”発声法
落語の稽古は「師匠から教わった噺を覚える」はあっても「正しい発声法」までは教わらないですものね。市馬師はそこで他の落語家よりも、アドバンテージがあるのかもしれません。キョン師の「なんとか音頭」はクレイジーキャッツからの日本のコミックソングの本寸法w

>>「サクサクサクサクサク」「先生!」「そば屋か!」
高田先生は還暦すぎて、孫もいるのにいつまでも「悪ふざけ」をやめませんね。見習いたいです。
Posted by 雷庵博人 at 2011年12月26日 21:08
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