2007年12月26日

ワーキングプアに関して

今日はいつもと嗜好を変え「ワーキングプア」に関して考えてみる、いや考えるまでもないな。実体験があるから。

11月に東京に戻ってからは正業がない状態。履歴書を送るもなかなか面接まで行かない。これまで行っていた業務と、これから行いたい業務がまるで畑違いなのでこれも仕方がない。そうなるとどうしても、時間の融通の利く日雇い派遣での仕事を入れてしまう。

はっきりいって、この手の業種というのは「8:30〜16:30まで設営、最低でも10人」といった発注が派遣会社に入り、派遣会社は登録会員の携帯メールに仕事の発注をする。

集められた労働者は「とにかく言われた通りにやれ」と。そこには個々の持つ知識や経験や技術は必要とされない。

そんな仕事、誇りを持てますか。
ワーキングプアってのは金銭的にもプアだし
精神的にもプアなんだよ。
しかも保証はないもない。
憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活)的にもプア。

自分の行動に意味がなければ、他人にも説明がつかない。この現状をどうすればいいのか。

入口は広い。誰にでも出来る仕事なのかもしれない。
しかし、出口は狭い。
安定した職を得るのに出口は狭い。

誰にでも続けられる仕事ではないが、続けざるおえない。

そんな現場で出会った人がいる。ギロッポンのMビルだ。研修スペースに設計図通りに机とイスを並べる。紐でピシッと測量して寸分狂いなく並べる。そんな仕事だった。これが肉体労働でスーツ着てやる必然性がない。オフィススペースだからスーツなんだろうけど。

そんな現場で休み時間、リーダー格の方に色々話しかけられた。その方はつい三ヶ月前にこの現場に来た。元々正社員として仕事をしていたが、退職。職探しの合間に日雇い派遣労働の仕事をするようになる。そして幸か不幸か、発注先のクライアントに仕事ぶりを評価され、指名が入るようになった。こうなるとおいそれとは「現場」から抜けられない。その方は今の現場から抜け出し、正社員になりたい。しかし、後継者がいないとそうもいかない。そんな事を話していた。それを聞いて思った。

「もうこの現場に来るのは止めよう」

目の前にいる彼が明日の自分に思えた。
彼には悪いがそう思った。

真面目で仕事が出来る人間ほど日雇い派遣労働から抜け出せないというのは、まさに負のスパイラル。

この世の中の構造は変わるのだろうか。

グッドウィル事業停止へ、今期の増益計画達成厳しく(日経新聞12月23日)

グッドウィル事業停止へ 日雇いバイトの悲痛な叫び(アメーバニュース12月26日)
「ネットカフェや24時間営業のファーストフード店で寝泊まりする人間に蓄えをするほどの余裕なんてありません。1日の稼ぎ4〜5千円ですから、仕事が途切れた瞬間からホームレス確定ですよ。文字通り『その日暮らし』です。1度この暮らしにはまり込んでしまうと抜け出しようがないんです。私はたまたま派遣先から直接雇ってもらい、何とか抜け出すことができましたが、そういうことは滅多にありません。もし雇ってもらえなかったら今頃どうなっていたことか…」。人々を危険な現場に送り込み、かなりの割合の手数料を得るのみならず様々な名目でさらに天引きをしようとして今年、悪名を轟かせた会社も多かった派遣業界。それでも、そこで働くより選択肢がない人々にとっては唯一の頼りのようだ。
日雇い派遣が生活保護のようなセーフティネットの役割をになっている。しかし、もう少しよりよい待遇で雇用してもらえるシステムを構築しなければ。失業保険というより、大学の奨学金のように「無利子で貸し出す基金」(3年間規定の日数就労した場合は返済義務が消滅する)で生計を立て、真剣に職探しと生活する場所を得て、労働する。そういうのはどうか?

折口のウソ会社がセーフティネットなんて、どれだけふざけた話だよ。

そういえば、一昔前に校庭に机とイスを「9の字」に並べた事件があったけど、彼等は設計図もなくどうやって精巧に並べたのだろう。

ギロッポンのMビルで働く日雇い派遣労働者も彼らと同じように机やイスを精巧に並べる。

どちらもやっている事は一緒だが、片方は悪巧みをどうやって成功させようかとわくわくしながら机やイスを並べ、後世まで語り継がれる。

片方は時間までにノルマを達成すべく、汲々としながら机やイスを並べ、明日の生活すら見えない。

終了

あとがき
今回のエントリーは、普段とまるで違う文章です。というのも、今回のエントリーは愛読者様のリクエストにお答えするために書いたのです。リクエストを受けたのは12月24日、渋谷にある天狗でした。

フルマラソンでサブスリー達成とアルコールを摂取すると絡み始める事で大変有名な愛読者様。私を捕まえてこういい始めました。

「雷庵はさぁ、就職氷河期を体験して、このワーキングプアを時代をどう考えているんだ。団塊ジュニアが不遇を囲っている今、雷庵は正業にも付けない状態で、どうしてこういった文章を書かないのか。雷庵博人から見た社会と(以下略)」

とりあえず「俺はハガキ職人だ。ハガキ職人はネタしか書かない。ネタで笑わせてナンボの存在。笑えない日本語は書かない」と言ってみたものの、職人を自認する以上、顧客の注文には答えなくてはいけない。

なので書いてみました。

そうそう、最後までお付き合い頂いた方にはいい事を教えて差し上げましょう。2008年の新語流行語大賞かもしれません。

「同情するならカネをくれ。無理ならこのブログの上のほうにあるGで始まるバナーを(以下略)」
posted by 雷庵博人 at 21:43| Comment(6) | TrackBack(0) | 労働者のボヤキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。いちお私も自称永遠の42歳(厄年)というキャラではありますが、リアルでは就職氷河期世代の一員でもありますのでカキコを。

ワーキングプアの問題に関しては、大学時代労働法ばかり学んでいた極左プロレタリアートな私にとっても身近でもあり注目している問題でもあるのですが、このリーダー氏には本田由紀の「やりがいの搾取」って言葉を教えてやりたいですねwそもそも「日雇い」の立場で後継がいないから辞められないなんてナンセンスの極みというか…

『個々の持つ知識や経験や技術は必要とされない』仕事をなさる方の中には、他の場所へ行けば十二分に能力を発揮できるはずの方もいると思うのですが、そんな人間ばかり大量に「生産」されるならば、所謂「雇用のミスマッチ」なんて甘い言葉ではなく、国家的な損失と申しても良いような気もするのですが、「仕事があるだけマシ」なんていう意味の判ったようではあるが、結局何の解決にもなっていない結論に収斂していくのでしょうか。

でもまぁ選択肢のないものを「選ばせて」おいて、それを以って「選んだ」人間の「自己責任」という個人の問題に意図的に矮小化せんとする昨今の風潮では、ワーキングプアもまた「自己責任」で片付けられてしまいそうで恐ろしいですが…

と、余りに長文になってしまいましたので、あとは自分のとこで何とかいたしますけれどもw、何かTBSラジオのライフにでも投稿してしまいそうな文章を雷庵さんのところで開陳してしまい、誠に申し訳ありませんでした。やや自省…
Posted by うどんさん(仮名) at 2007年12月27日 00:43
酔っ払いのリクエストに多大なレスポンスありがとう!
絡んでみるのも有益だなーと思った。

ワーキングプアのセーフティネットは少しずつだが確実に動き始めてる。こんなのとか(↓)
『誰も守らないなら、自分たちで守る!』
http://tasukeai-net.blogspot.com/

今年一番笑えた言葉は、
「安倍は一人でチャレンジしてろ〜」
「折口は派遣先をたらい回しにされろ〜」
という言葉。4月に『フリーターメーデー』という場で、コール&レスポンスされてた。

笑いと怒りは表裏一体はところがある。さらに言えば怒りを笑いに昇華できる才能こそが今後、より求められると思ってる(それはそれで嫌な状況だけどね)。
Posted by りゅうさく at 2007年12月27日 01:10
>>うどんさん(仮名)さん
コメント欄ではもったいないような、力の入った文章。誠にありがとうございます。

>>「日雇い」の立場で後継がいないから辞められないなんてポイズン
人間、環境に慣れるとそれが当たり前になるんでしょう。だから、真面目な人ほど抜けられない。

>>国家的な損失
おっしゃる通りです。

>>ワーキングプアもまた「自己責任」
国会議員による国民救済放棄と言っても過言ではないですね。
Posted by 雷庵博人 at 2007年12月27日 21:35
>>りゅうさくさん

>>絡んでみるのも有益だなーと思った。
私には仕事のできる編集者が必要なのかもしれませんね。まあ、絡む方は事の大事さにw

>>怒りを笑いで表現する
2004年の「オリ近合併」がまさにそれですね。
「まぜるな危険」とか「藤田まことのゲーフラ」とか。

竹中直人の「笑いながら怒る人」もありって事ですかね?
Posted by 雷庵博人 at 2007年12月27日 21:39
 労働法学士の私がやってまいりましたよ。

 ワタクシが能書きを垂れるより数億倍わかりやすく現在の労働法制の問題点を突いた解説頁がありますので、それをまずはご紹介。
 http://www.geocities.jp/sakusyu2006/


>雷庵様
 貴重なルポルタージュ、ありがとうございますm(_ _)m。
 今、本当にこのルポは意義深いものであると断言出来ます。

 最後に、労務相談で労働者側の相談者様に必ずご紹介する、漫画「パトレイバー」の一節をしたためまして、終わりとさせて頂きます。

 ---とある重工業企業の社長がTVに出演し、年頭にあたって「21世紀の夢」を語っている---

《社長》
“人間のやっていた単純労働はすべて機械がやってくれる、人間はその分文化的な精神活動に労力をふり向けることのできる時代を実現できればと思っております”

《インタビュアー》
“夢のあるお話ですね”

  ------------------------------------------------------

《後藤警部補》
「おれたちが子供の頃さ・・・漫画のグラビアとかには必ず『21世紀はこうなる』みたいな記事が載ってたじゃない?」

《南雲警部補》
「漫画は読まなかったから・・・」

《後藤》
「・・・・・・・」

《後藤》
「あの頃のベクトルって,いまだに変わっていないような気がするんだよな。高度経済成長って、日本人の性なのかな?」

《南雲》
「子供の頃にそういう物をすり込まれた人たちが社会を動かしているのよ。当然なんじゃない?」

《後藤》
「子供の夢ってさあ、泉なんか見てるとわかるけど、基本的には『運転手さん』になりたいんだよな。・・・そういうのが、資本家の夢とだんだんかみ合わなくなっていくんだ。」



《南雲》
「資本家の夢ってなあに?」




《後藤》
「給料のいらない従業員。」
Posted by どりふ at 2007年12月28日 10:30
>>どりふ様
お褒め頂きまして誠にありがとうございます。この「鳥山明先生の画風に良く似た」マンガ面白いですね。今すぐ中学や高校や専門学校で配布したいです。

パトレイバーに「給料のいらない従業員」というセリフがあったんですか。始めて知りました。


Posted by 雷庵博人 at 2007年12月28日 21:58
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